“旅は自由席”――暖冬道東一周旅行(3)

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第2回はコチラ↑

 

釧路駅根室

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札幌駅に停車中の「スーパーおおぞら1号」

札幌駅から乗車した特急「スーパーおおぞら1号」で釧路へ降り立った私。今日はここで一泊するのですが、さすがにこれで今日の予定は終わり、ではありません。快速「ノサップ」に乗り換えて根室へ向かいます。

どうせ釧路に戻ってくるので、着替えなどが入っているボストンバッグは釧路駅に置いて、ここから先は財布やスマホなどの最低限の荷物だけで旅を続けたいところ。ついでに昼食も調達しないと、飲まず食わずで根室まで行く羽目になります。

JR北海道から与えられた乗り換え時分は13分。“釧路駅RTA”が始まりました。

ちょうど「スーパーおおぞら1号」は駅舎側のホームに到着するので、すぐさま改札を通り、まずコインロッカーを探します。と言っても釧路駅は一度来たことがあって、勝手は分かっているので大丈夫。改札を出て左に行けば何とかなる。

そうしてコインロッカーは無事に確保。続いて昼食です。初めはキヨスクで弁当でも買おうかと思いましたが、駅ナカにおにぎり屋さんを見つけたので、こちらで購入。他にもお客さんが大勢いて賑わっていましたが、首尾よくテンポよく買えました。あとは、「ノサップ」の座席の確保ができるか否か――!

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結論から言いますと、大丈夫でした。車内はロングシートのほか、なんだか特急のようなテーブル付きリクライニングシートが並んでいて豪華な感じ。海側は残念ながら埋まっていましたが、反対側に空いている座席を発見*1。これなら昼食も気兼ねなく取れそうです。

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「ノサップ」は、北海道ではおなじみのキハ54形という車両で、たったの1両編成でした。ワンマン列車ですが運転台には乗務員が2人。便乗か添乗か、あるいは見習い運転士とその師匠でしょうか。ちなみに、ご覧の通り『ルパン三世』のラッピングが施された車両です。沿線の浜中町が、原作者のモンキー・パンチの生まれ故郷だからです。

荷物を預け、昼食を調達し、座席も確保できました。釧路駅RTAをコンプリートしたところで、列車は定刻通り発車。ここから先、根室までの根室本線区間は「花咲線」の愛称がつけられており、私にとっても未踏の区間であります。

釧路川を渡り、釧網本線と分岐する東釧路駅に停車。駅前にスーパーがあるためか、地元民とおぼしき乗客がぞろぞろと乗って来て、座席は大半が埋まりました。

釧路市のお隣、釧路町の玄関駅である別保駅を出ると、車窓は一気に山がちに。人家もほとんど見当たらず、文字通り人里離れた山奥を走って行きます。景色が単調になってきたのと、お腹も減ってきたので、昼食を取ることにします。

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先ほど釧路駅で買った、北海道名物「ザンギ(唐揚げ)」と、鹿肉のおにぎりです*2。残念ながら出来たてというわけではなく、もちろん車内には電子レンジなどもありませんから、冷えたまま食べると具もごはんもちょっと固くてポソポソします。しかしコンビニのおにぎりに比べると、1つが大きいので満足感もあり、特に鹿肉は初めてでしたが癖もなく食べやすい。

すると突然、列車がけたたましい汽笛を鳴らし、強いブレーキがかかりました。おにぎりを持ったまま、首を伸ばして何事かと前方を見る私。やがて列車はブレーキを緩めて再び加速。窓の外には――

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/おいす\

お前か~~~~~!!

そうです、エゾシカが線路内に立ち入っていたのです。上の写真は翌日の釧網本線で撮影したもので、一匹しか写っていませんが、数匹の群れでぞろぞろと線路を横断する連中もいます。

また、汽笛に驚いて逃げるのはまだいいほうで、汽笛を鳴らしてもギリギリまで逃げず、そうかと思うとレールに沿って列車と同じ方向に走り出すやつもいるから始末が悪い。

そしてエゾシカとぶつかりそうになるたびに、釧路を発車したときから一度も座らずにずっと列車前方に陣取っていたオッサン2人が、ここぞとばかりにカメラを向け、シャッターを切りまくります。ははあ、こいつら純粋に鉄道大好きで前面展望していたというより、これを狙っていたんだな。

その後も何度か同じように非常汽笛→急ブレーキのコンボが続き、急停車する*3場面も。私のような余所者は心中穏やかではありませんが、地元の人は勝手知ったるもので、「ああ、またか」といった様子。

初めは便乗か添乗か、あるいは師匠と弟子かと思った2人体制の乗務員も、ひょっとしたら、万一エゾシカをはねた場合に備えた保安要員だったりして……。

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エゾシカ(と乗客)を驚かせつつ、しかし衝突することはなく、森を抜けて平地に出てホッとしたところで、列車は無事に厚岸駅へ。ここで乗客の半分近くが下車しました。多くは釧路~厚岸の区間利用の地元客でしょう。厚岸までは一定の需要があるようで、釧路から来てこの駅で折り返す列車もあります。

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厚岸といえば牡蠣の町。スーパーやデパートの駅弁フェアでおなじみ「かきめし」も当地の駅弁です*4。私は牡蠣が好きなので、いつか牡蠣を食べるために下車してみたいものです。

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次の茶内駅は、『ルパン三世』原作者モンキー・パンチ*5の出身地です。色褪せた駅名標の脇には、それを示すポールと銭形警部の姿が。茶内の次は町名でもある浜中駅ですが、利用者は茶内のほうが多いようです。

厚岸以来の交換駅である厚床では、交換列車もなくすぐに発車……のはずが、発車時刻を過ぎても一向に動き出す気配がありません。どうしたものかと前方を見ると、信号機は赤。運転士が無線で指令と何か通話している様子ですが、声までは聞こえません。

定刻より6分過ぎたところでようやく信号が変わり、「ノサップ」は厚床を発車。しかし遅れの理由については何も説明がありませんでした。転轍機の不具合か何かでしょうか。広大な北の大地では、6分程度の遅れなど気にする人はいないのかしら。

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INSPECTOR ZENIGATA(迫真)

やがて車窓右手には太平洋が広がります。「スーパーおおぞら」の車内でもさんざん眺めた海と同じですけれど、キハ54の窓を通して見るとまた違った味わいがあるものです。

根室市街を通り、列車は終点の根室駅へ到着。ここからは、バスで納沙布岬へ向かいます。

 

つづく

 

 

*1:リクライニングシートから埋まると思いきや、ロングシートに座っている客も。短距離利用の地元客かしらん

*2:そういえば朝食もおにぎりだったな……と気づいたのはこの時

*3:キハ54のような古い車両は、非常ブレーキを使うと完全に止まるまで緩解できないため

*4:事前予約すれば出来たてをホームまで届けてくれるらしい

*5:余談だが私はモンキー・パンチ先生と誕生日が同じ