“旅は自由席”――暖冬道東一周旅行(5)


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第4回はコチラ↑

早いもので旅行から丸一年(と1ヶ月)が過ぎてしまいました。早いものでと言いつつ、社会のあまりの激変ぶりに「まだ一年しか経ってないの?」って感じもありますが。ここいらで旅行記もペースを上げていきたいと思います。

 

旅行3日目 2020年1月29日(水)

はじめての釧網本線

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朝5時40分。日本のかなり東に位置するとはいえ、まだ夜の明けぬ釧路駅から旅が始まります。乗車するのは釧網本線普通列車、網走行き。車両はお馴染みキハ54。6時03分に発車する始発列車であります。

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本当ならこんなに朝早くから旅を始めたくはないのですが、そこは御多分に漏れず本数の少ないローカル路線の釧網本線。この列車を逃すと次は9時近くになってしまい、その後の予定にも影響するので、昨日以上に頑張って早起きして、凍てつく道をてくてく歩いてきた次第です。

網走行きの列車は2両編成。ただし、途中駅で切り離して、前の車両は網走へ、後ろの車両は別の列車として釧路へ折り返す、というパターンもあり得ます。私の不安を裏付けるかのように、後ろの車両はサボ(行先表示板)が装着されていないし、なぜか種別も「快速」表示になってるし。

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念のため運転士に確認したところ、2両編成のまま網走へ行くとのことだったので、すっかり安心して乗車し、乗降の少なそうな後ろの車両に腰を落ち着けます。

6時03分、定刻通り網走を発車。次の東釧路で高校生が大勢乗車してきました。時刻はまだ6時を過ぎたばかりですが、前述の通りこれを逃すと次の列車は9時ですから、釧網本線沿線の高校に通う学生は早かろうが何だろうがこの列車に乗らざるを得ません。早起きが苦手な子にはキツい。乗り遅れたら遅刻確定です。

列車は東釧路根室本線と分かれ、釧網本線を北上していきます。私が釧網本線に乗車するのはこれが初めて。昨日のうちにセイコーマートで仕込んでおいた朝食をむしゃむしゃ食っていると、やがて夜が明けてきました。この辺りはいわゆる釧路湿原。雪に覆われた国立公園の中を突っ走っていきます。

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クリームステッキ(直球)と、ちくわパン(直球)

と、けたたましい警笛とともに急ブレーキが。昨日の根室本線と同じ、エゾシカの侵入です。以後、何度となく急ブレーキや急停車が繰り返されることとなりましたが、車内にいる高校生にとっては日常茶飯事と見えて、一瞬「ん?」みたいな顔はするものの、すぐに手元のスマホに目を落としていました。うーん、よく訓練されていますね。

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塘路では、反対から来る列車の待ち合わせのため停車。ところが反対列車がシカと衝突して遅れてきたため、こちらも7分遅れで発車しました。その後、標茶、摩周で同車の学生は全員下車し、2両目は私一人きりになりました。

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しばらく走るうちに、車窓右手に形のいい山が。調べてみたら斜里岳とのこと。やがて町並みが見えてくると知床斜里に停車。駅名の通り、知床半島の玄関口であります。駅前には大きめのホテルもあり、一大観光地であることがうかがえました。

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知床斜里を発車すると、車窓右手に海が広がりました。オホーツク海です。ここからは、網走方面へ向かう釧網本線最後のハイライト区間でもあります。特に途中の北浜駅は流氷が押し寄せる駅としても有名ですが、このときはまだ時期が早かったのか、それとも暖冬の影響もあってか、流氷は見られませんでした。

そして釧路からおよそ3時間、列車は終点の網走に到着。ここからは周遊バスに乗り換え、網走監獄へ向かいます。

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「網走監獄」へ収監さる

向かうんですが、バスの乗り継ぎが良すぎて、6分しかありません。初めて来た町の、初めて降りた駅。おまけに旅行の荷物と旅をしているので、着替えなどが入ったボストンバッグだけでも、どこかのコインロッカーに預けたい。釧路駅RTA以上に過酷な網走駅RTAに挑戦です。

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駅舎の外にコインロッカーはすぐに見つかりましたが、荷物を預けた時点ですでに3分経過。網走監獄方面へ向かう2番乗り場が分からず、ロータリー内を右往左往。ようやくロータリー外にあるバス停を見つけるも、向かう最中に後ろからバスが私を追い抜いてきて、先にバス停で待っていたお客さんを乗せ始めました。慌てて猛ダッシュする私。ほうほうの体で車内に転がり込み、何とか間に合いました。

さて、これから向かうのは「博物館 網走監獄」。明治期に建てられた「網走監獄」を博物館として保存したものです。網走市には現在も「網走刑務所」があり、バスも刑務所の近くを通りますが、そちらは現役の本物ですので間違って収監されないよう念のため。

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やがて「博物館 網走監獄」に到着。さっそく「収監」されることにしましょう。

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まず出迎えてくれるのが、厳めしい「正門」。ちなみに上に挙げた本物の網走刑務所にも同じものがあり、博物館にあるこちらは復元されたものです。

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一番の見どころは、放射状に建設された舎房でしょうか。ここがいわゆる牢屋。中央に見張り小屋があり、5本の建物を監視できるようになっています。昔ながらの収容所というか、THE KEIMUSHOって感じですね。

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上を見上げると……アッ、だれかいる!

彼の名は白鳥由栄。網走刑務所を含めて4度も脱獄を繰り返した「昭和の脱獄王」です。実際にこのように天井へよじ登り、天窓を突き破って脱獄したんだとか。その時の様子が再現されています。

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「動く監獄」とも呼ばれた休泊所

他にも、職員の官舎や、食事に使われる味噌や醤油を作る蔵、囚人を開拓に従事させるために塀の外に作られた仮宿泊所など、広大な敷地の中にいろいろな建物が移築・復元されていました。

再現されているのは建物だけではなく、食事もその一つ。敷地内にある食堂で食べることができます。私が食べたのは、メインのおかずがサンマの塩焼きの「監獄食A」。ただし、これは現在の網走刑務所で出されているものの再現です。

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監獄食A、800円。ちなみに監獄食Bはホッケ

昼食を済ませ、このあとの予定をどうしようか考えた末、バスに乗車し北方民族博物館へ。北海道の先住民族アイヌのほか、イヌイットなど世界各地の寒い地域に暮らす民族の紹介と、彼らが使っている道具の展示がありました。

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その後、周遊バスで網走駅へ戻ってきた私。コインロッカーから荷物を取り出し、再び列車に乗車。今夜の宿がある北見方面へ向かいます。

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つづく