鉄路は西から東から

鉄分多めの日常とお出かけの記録

“旅は自由席”――暖冬道東一周旅行(8)完結

rockmansion.hatenablog.jp

第7回はコチラ↑

 

北海道よさらば!我が代表堂々出航す

札幌駅で寿司を食べ終え、函館本線普通列車に乗車して小樽へ。新潟へ向かうフェリーに乗船するためです。初めは小樽駅まで行って連絡バスに乗るつもりでしたが、まだ時間があるので一つ手前の南小樽駅で下車。ぶらぶらと観光がてら、徒歩でフェリーターミナルへ向かうことにします。

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土産物店などが多く立ち並ぶエリアは、真冬だというのに観光客でごった返しており、積雪も相まって非常に歩きづらい。しかし今となってはあの喧騒が懐かしいですね……。

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歩き回っていたらくたびれたので、道中にあったかまぼこ屋さんへ入り、北海道限定「ソフトカツゲン」を飲んで栄養補給。ここからまた大いに元気を出して、荷物を引きずりながらフェリーターミナルへ。

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穴の開いた(?)この立派な建物が、新日本海フェリーの発着する小樽フェリーターミナルです。ここから新潟行きの長距離フェリー「あざれあ」に乗船します。17時00分に出航し、新潟港到着は翌日の9時15分。およそ16時間の船旅であります。ちなみに私がここからフェリーに乗るのは二度目。

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予約はネットで済ませていたので、受付では各種の注意事項の説明と、乗船券が発行されるだけの簡単な手続きで終わりました。受付のお姉さんいわく、「悪天候のため、翌日の新潟港の到着が遅れる可能性があります」とのこと。

ええ、ええ。明日はもう新潟に着いたら家に帰るだけなので、全然オッケーです。それに船は大好きですから、遅れればそのぶん長く乗っていられてラッキー!

……そんな風に思っていました、このときまでは。このあとに待ち受ける地獄の航海も知らずに……。

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17時00分、定刻通り出航。暮れなずむ港の灯りと、徐々に遠ざかる天狗山の姿を目に焼き付けながら、頭の中で今回の旅行を振り返り、次に来るのはいつになるだろう、そのときはどこへ行こうか、と感傷に浸るのが帰路の船旅の作法です。

しかしながら、放送で「港外に出ると波が高まるため、船内の大浴場を閉鎖します」と脅されてしまったので、センチメンタル・ジャーニーもそこそこに風呂へ。なるほど、すでにこの時点で船は揺れが大きくなり始めており、波の出るプールよろしく湯船のお湯が行ったり来たりしていました。

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風呂から上がってしばらくすると、船は港外へ出たらしく、いよいよ動揺が大きくなりました。廊下をまっすぐ歩いているだけで、坂を上ったり下りたりしているような感覚。時折、大きな波が船体にぶつかると、船全体がズシンと揺れます。フォワードサロン(前方にある展望室)も閉鎖されており、大浴場も予告通り閉鎖されてしまいました。

ま、夜だからどうせ景色も見られないし、あとはレストランのサッポロクラシックで一杯やって、自室でノンビリと行きたかったのですが……

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はい、これが私の「夕飯」です。

見事に船酔いしました。

胃袋がゆっくりと裏返ってくるような吐き気、そして目まい。ただただ気持ち悪い。横になっていてもまったくダメで、なんとか踏みとどまって嘔吐こそしなかったものの、我慢できずに売店で酔い止めドロップを購入しました。なめてみるといくらか楽になった……気がするものの、ぶっちゃけ気休め程度。

以前にも冬の新日本海フェリーに乗船したことがあり、そのときは冬とは思えない穏やかな航海でした。また、クルマやバスで酔ったことは今まで一度もなく、三半規管は丈夫なほうだという自負もあったので、ぶっちゃけ余裕だと思っていました。なめるべき相手は航海ではなく、酔い止めドロップでしたね(?)。

とにかく、もはや飲酒どころではありません。ザンギもジンギスカンも私を待ってはいない。船酔いには空腹もいけないと知りつつも、何も口にする気分になれません。このまま寝るにはあまりに早すぎる時間でしたが、そうかといって何かする元気もありません。

旅行というより入院しているような気持ちで、吐き気と戦いながらひたすら横になっていることしかできませんでした。

 

旅行4日目 2020年1月31日(金)

”待ち遠しかった”旅の終わり

いつしか眠っていたようです。船は相変わらず揺れながら航海を続けているようですが、いったい今が夜なのか朝なのか、窓のない船室で寝ている身には分かりません。そうして枕元にあったスマホで時刻を確認してみると、なんと14時を過ぎているではありませんか!

え、はぁ!?

新潟港到着は定刻なら9時過ぎですから、すでに5時間以上遅れていることになります。おいおいおい。てか、それ以前に自分、何時間寝ていたんだよ……。

混乱する頭で腕時計の時刻を確認すると、こちらはまだ6時を過ぎたばかり。あれ!?

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実際には腕時計が正しく、時刻は朝の6時過ぎでした。圏外になっている時間が長すぎたのか分かりませんが、なぜか8時間ものズレが発生。念のため7時にセットしておいたスマホのアラームが「聞き逃したアラーム」と表示されています。聞き逃してねーよ。しかしこんなの初めて見ましたね……。

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廊下に出てみると、窓の外はこんな感じ。水平線まで鉛色の海が広がり、空は相変わらず雲が優勢ですが、切れ目から少しだけ朝日も顔をのぞかせていました。

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たっぷり寝たおかげで体調もだいぶ良くなったため、朝食をとることに。カフェテリア形式なので、パンとスープと目玉焼き、あとオレンジジュースを選択。

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新潟へ近づくにつれて、あの荒天はどこへやら、天候はどんどん回復。

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定刻よりおよそ1時間半遅れて新潟港へ到着したのでした。いやあ、長い長い船旅だった……心理的に。陸がこんなに恋しいとは。

船が遅れたために所定の連絡バスは待っておらず、仕方なく徒歩でターミナル近くの別のバス停へ。そこから新潟交通の路線バスに乗車し、万代シテイへ移動。

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万代そばで名物のカレーを食べました。病み上がりで刺激物はどうかという気もしたのですが、体がカレーを欲していたので大丈夫でしょう。本当は船の上でカレーを食べたかった、そのリベンジでもあります。

その後、上越行きの高速バスに乗車。最後の2時間半のバス旅もつつがなく、青空の見える上越へ帰還したのでした。

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 “旅は自由席”――暖冬道東一周旅行 おわり