さようならPixel、こんにちはXperia

どうもこんにちは。

2020年1月に買った「Pixel3a」をかれこれ2年8ヶ月使ってきました。お値段は4万9,500円、色はPurple-ish。ごく薄い紫色のボディーに、ライムイエローの電源ボタンがアクセントになっていて、値段のわりに機能も必要十分で、たいへん良いスマホでした。

rockmansion.hatenablog.jp

 

……が、今回そのPixel3aに別れを告げ、スマホを新調したのであります。それが「Xperia 10 Ⅲ Lite」です。色はブルー。こいついつも青いもん買ってんな。

上に挙げた過去記事のタイトルでお分かりのように、Pixel3aの前にはXperia*1を使っていたので、これで再びXperiaに回帰したわけです。

さて、この機種を選んだ決め手は「カメラ」と「値段」でした。

Pixel3aのカメラは非常に出来がよくて、撮影した画像に適切な処理を施すことで、単眼にもかかわらず、その不足分を補うキレイな写真が撮れるのがポイントでした。たしかに、スナップ写真ならコンデジと比べても見劣りしません。

一方で、室内で写真を撮る際などに、もっと広角のレンズがあればなぁと思う場面が多くありました。最近では寝台特急サンライズ出雲」に乗車した際、個室内の写真が上手く撮れなかった、というケースがそれです。被写体から離れれば全体像を収めることも可能になりますが、狭い車内では限界があります。

それ以外にも、やはり屋内での撮影にはもっと広角で撮れるレンズが欲しい。料理しかり集合写真しかり。

その点、Xperia 10 Ⅲ Liteは最近のスマホらしくレンズが3つもついています。これでもって超広角の写真が撮れます。要するに、周りの景色をより広く写せるようになるんですね。

https://xperia.sony.jp/xperia/xperia10m3/camera.html

あと、使い始めて気がついたのは「マニュアル撮影モード」があること。これが地味に便利です。Pixel3aでも明暗などは多少いじれるものの、基本的にカメラ任せのフルオートでしか撮れません。普段はそれでいいんですが、こういう因果な趣味をしていると困る場面があります。

具体例を挙げましょう。先月、バスに関する記事を書きましたね。あの記事の写真は全てスマホ(Pixel3a)で撮影したものです。その中から、肝心のバスの写真をご覧ください。

これです。何が問題か、お気づきになりましたか。

正解は「行先表示が撮れない」のです。いま主流のLED式のものだと、このように列車やバスの行先表示の文字が切れてしまうことがあります。本来ならばバスの前面に「快速 魚沼基幹病院」と表示されているのに、これでは注釈をつけないとどこ行きのバスを撮ったものやら分かりません。

解決するには「シャッタースピード」をいじればよいのですが、Pixel3aはそれができなかったので、せっかく珍しい行先表示や変わったテロップなどを目撃しても、スマホでは上手く撮影できない、というもどかしい経験が何度もありました。

ところで、私がスマホの超広角レンズというのものに初めて触れたのは、iPhone12 mini。次はもっと小さいスマホがいいな……と思いつつ、家電量販店で展示のiPhoneをポチポチしていたところ、こんな便利な機能があるのかと驚いた次第。小さいけど超広角レンズ搭載のiPhone12 mini、ええやん。ずっとAndroid派だったけど、思い切ってiOSに乗り換えちゃおうかな!(^^)

……と思った矢先、iPhoneが爆値上げし乗り換え計画は白紙に。

news.yahoo.co.jp

7万円前後なら何とか……と思っていたものが、一瞬にして10万円弱にまで値上げですからね。モノはまったく一緒なのに。申し訳ないがスマホに10万は出せないわ。ついこの間発売された最新機種の一番高いやつは、マトモに買えば30万近くするんでしょう? イカレてんな……。

で、30万はおろか10万円のスマホも買えない私は、値段と性能を吟味した末、結局またXperiaの廉価機種に戻ってきたわけです。楽天モバイルの割引で2万7,000円くらいで買えました。ううむ、型落ちセール品とはいえPixel3aの半値程度しかしなかったのは、さすがにランクを落とし過ぎた感が……。

まァ、私がスマホに求めているのはこの程度の性能だということをご理解ください。しかし上に書いたとおりカメラ機能は満足していますし、性能面以上に心配していた「スマホの乗り換え(データの移し替え)」も案外とすんなり行って、今のところ失敗したなと感じる部分はありません。

強いて言えば、重い。本体重量は約169gと、Pixel3aよりも22g重くなりました。たったの22gとはいえ、比べると明らかにずっしり来る重さです。余談ですが、検討の段階で一応、Pixelシリーズの最新廉価機種「Pixel6a」も触ってみたところ、あまりの重量差*2に「これはないな……」と候補から外したので、もし6aにしていたらどうなっていたでしょうね。右手だけムキムキになっているかな(笑)。

Pixel3a(右)との大きさ比較

それからスマホの出来とは関係ありませんが、残念なのは小さいスマホにすることができなかった点でしょうか。Xperia 10 Ⅲ Liteの大きさはPixel3aとほぼ一緒。ベゼル*3が小さくなったので、大きさそのままに画面はデカくなりましたが。

使い始めて約1ヶ月、ようやくこまごました設定やカスタマイズがこなれてきた感があります。いい意味で「安いスマホ」なので、普段使いから旅行まで、あちこち連れ回して使い倒して行こうと思います。

ちなみに、これまで使っていたPixel3aはどうするかというと、バイクのカーナビアプリ専用機として使うつもりです。ハンドルに取り付けるタイプのスマホホルダーがあるのですが、クルマと違って剥き出しなので、万一にも走行中に落下したり、何かと接触したりしたら大惨事になります。また、振動を与え続けるとカメラが故障するという例もあるといい、いずれにしてもメインのスマホを取り付けて使用するには、あまりにリスキー。そのため、中古で安いスマホを買ってきて、カーナビ用のサブ機にする人もいるようです。

というわけで、Pixel3aくんもお役御免で隠居というわけにはいきません。これからは体を張って、私のツーリングのお供をしてもらいます(笑)。

 

 

*1:Xperia X Compact

*2:3aは147g、6aは178g

*3:画面上下の黒いフチ

南越後観光バス「快速 魚沼基幹病院線」乗車記

どうもこんにちは。

今日は珍しくバスのお話です。

私は公共交通機関では鉄道の次にバスが好きです。と言っても車両などは全然詳しくないですし、乗ったことのある路線もごくわずかに限られますが、地元を走る越後交通や頸城自動車にはある程度の関心があります。

地方の路線バスを取り巻く環境は年々厳しさを増しており、それは鉄道の比ではありません。補助金に加え、都市間高速バスやツアーなどの貸切営業の収益によって路線をなんとか維持していた会社も、折からのウイルス禍のせいでそのビジネスモデルが崩れてしまいました。

各地で路線の廃止や縮小が相次ぐ中、南越後観光バスでは新たな路線が誕生しました。それが「快速 十日町車庫前~魚沼基幹病院線」です。

★時刻表はコチラ↓

http://www.minamiechigo.co.jp/pdf/jikoku-R04.04.01/tsunan/ushiroyamaR4-4.pdf

正確には新規路線ではなく、これまで運行されていた十日町車庫~後山(うしろやま)間のバスを延長する形で、南魚沼市にある「魚沼基幹病院」まで運行しています。

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5月のある晴れた日、「十日町本町6丁目」バス停から乗車。始発は越後交通十日町車庫ですが、最初にバスは街なかをグルグルと巡回するので、時間とお金を節約するため車庫からほど近い本町6丁目バス停まで来ました。

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バスは1日4本だけ。最終便は浦佐駅東口止まりで、いずれも平日のみ運行。土休日やお盆・年末年始は運休です。

……まあ、そもそもバスで街へ出てくるのは通学の学生やお年寄りだけでしょうし、学校はもちろん、お年寄りが行きそうな病院や官公庁、金融機関なんかも平日しかやっていません。同居の家族がいれば土日は仕事が休みで、子供の部活や買い物なんかは車で送迎できるから、これでも困らないんでしょうな。

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13時16分、やって来たのは小型のバス。あとでググったところ、三菱ふそうの「エアロミディME」というバスだそう。寸詰まりの小さい車体ですが、ちゃんと2ドアあり、後乗り前降りになっています。ちなみに小出営業所所属でした。

本町6丁目バス停から乗車したのは、私のほかにおばあさんが1人だけ。この系統の本日3本目、魚沼基幹病院まで向かう便としては「最終」に当たります。どの程度の乗車率かと思ったら……おお、意外と乗っている! 私を含めて9人も乗っていました。

「9人も」と言うと笑われてしまいそうですが、平日の昼下がりに山奥へ向かう、1日たった4本のバスにこれだけ乗っていれば上出来でしょう。ぶっちゃけ4~5人くらいかと思ってたわ。小さいバスで座席数も少ないので、見た目のうえでも9人乗ればそこそこ乗っているように見えます。

……と、出足は好調に思えましたが、乗車したお客は私が最後。あとは1人、また1人と降り、国道117号から山間部へ向かう国道252号に分かれる「中条病院前」で3人降車し、ついに私だけとなってしまいました。

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この付近までは別の系統も併走しているので、私以外の乗客は「魚沼基幹病院行きだから乗った」わけではなく、単に「都合のいい時間に自分の目的地のほうへ向かうバスがあったから乗った」だけなのでした。

身軽になったバスは、252号を快調に走ります。自動放送の声が停留所の名前を1つひとつ律儀に読み上げますが、誰も乗車してくる気配はありません。5月ということもあって、鮮やかな新緑が目にまぶしい。

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とうとう乗車可能な最後の停留所「菅沼」を過ぎ、市境を越えました。次の「後山」から先は浦佐駅東口までノンストップ。「快速」の名はこのためです。延長運行は十日町市の実証実験、つまり十日町市の税金が投入されているため、南魚沼市内のみの利用はできないようになっているんですな。

峠をトンネルで抜けたバスは、一転して下り坂に差し掛かります。スノーシェッドに覆われたグネグネ道を駆け下りて、あっという間に浦佐の街へ。国道17号に合流し、浦佐駅東口を経由。

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帰りは列車を利用するつもりだったので、降りようか少し迷いましたが、ここまで来たら終点まで行くべぇと思い直して定刻14時ちょうど、何にも用事はないのに終点「魚沼基幹病院」へ到着したのでした。十日町本町からの運賃は750円也。

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……さて、趣味の乗車としてはここでおしまいです。「ああ、おもしろかった」で記事を締めくくってもいいのでしょうが、この路線の行く末まで考え始めると心配の種はあります。

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まず、私以外の誰も魚沼基幹病院まで利用しなかったこと。まあ時間が中途半端なので、朝イチの便は診察へ向かう患者がある程度乗っているのかもしれませんが。それを抜きにしても、このバスだけが通る(=中条病院前より先の)集落の人も誰も利用していませんでした。

また、このあと浦佐駅へ歩いて戻ったのですが、ちょうど私が駅へ着くころに魚沼基幹病院始発の十日町車庫行きがやってきました。しかし乗客はゼロ。浦佐駅東口からの乗客もゼロ。空気だけを乗せたバスが走り去って行きました。この日は病院へ向かう人だけでなく、病院帰りの人もいなかったんですね……。

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十日町から列車で魚沼基幹病院へ向かおうとすると、六日町で階段のアップダウンを伴う乗り換えが発生します。しかも最寄駅の浦佐まで来ても、結局そこからバスかタクシーに乗らないと少々遠い場所にあります。

その点、バスは十日町市の市街地から乗り換えなしで浦佐駅や魚沼基幹病院へ行くことができ、また浦佐駅から新幹線に乗れば、十日町から新潟まで1時間40分程度で行ける、と十日町市の資料はアピールしています。本数も少なくマイナーですが、この所要時間は現在のところ、十日町~新潟間を公共交通機関で移動する場合の最速ルートの1つです。

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魚沼地域最大の医療拠点までダイレクトに至れる手段としてだけではなく、都市間移動の一翼を担う可能性も秘めた「快速 魚沼基幹病院線」。まだまだ路線の存在自体が市民に認知されていない、周知不足の感は否めません。ぜひとも一度限りの実験で終わらず、利用が定着していくといいなと思います。

www.minamiechigo.co.jp

 

 

【〒】国田郵便局ほか3局【局めぐ】

訪問日:2021年6月9日

 

13局目 国田郵便局

国田郵便局

〒949-3422 新潟県上越市吉川区国田8-2

局番:12087

局舎外観

局名印

 

14局目 源郵便局

源郵便局

〒949-3562 新潟県上越市吉川区山直海1616

局番:12227

局舎外観

局名印

 

15局目 川谷簡易郵便局

川谷簡易郵便局

〒949-3553 新潟県上越市吉川区川谷3167-1

局番:12740

局舎外観

局名印。文字の間隔がやけに広い

実は、私が郵便局巡りを始めるきっかけの1つになった局である。ドライブの途中、ずいぶんと山奥に来たなぁ、こんなところにも集落があるんだなぁと感心していたら、なんと郵便局まで存在した。しかも、一見して郵便局には見えず、かなり年季の入った佇まいではないか。

とはいえ手紙を送るような用事もないのに、ただ中へ入ってジロジロ眺めて出てくるのもおかしいから、このときは素通りした。しかしそれ以来、こういった駅もコンビニもないような場所でもしばしば出会う「郵便局」という建物に興味が湧き、どうしたものかと思っていたら、そのものズバリ「郵便局巡り」という趣味を知ったのである。

さて、「郵便局巡り」という大義名分を得た私は、ついに「客」として堂々と中へ入ってみた。その日は女性の局員が1人で勤務していて、さすがに局内の撮影ははばかられたので写真はないが、なんと食料品や日用品も売られている。

今日び郵便局での物販は珍しくないが、ここはむしろ商店のレジが郵便局としての機能も兼ねているような雰囲気だ。どうやら元Aコープだったらしく、外の看板には「川谷簡易郵便局」のほか、謎の空白(テープで消した跡)とともに「    川谷店」の文字が残る。撤退した後も住民の求めに応じてか、飲料、調味料、カップ麺、洗剤など、ちょっとした日用品を販売しているのだろう。会計や商品の管理も局員さんが行っているようで、カウンターの中には郵便業務で使う道具類のほか、店舗の帳簿らしきものも一緒に置かれていたのが印象的だった。

 

16局目 旭郵便局

旭郵便局

〒942-1102 新潟県上越市大島区田麦1264-1

局番:12295

局舎外観

局名印

局内では煎餅やチョコレートなどの菓子類が売られていた。前述した川谷簡易局のように店舗になっているわけではなく、空いたスペースでワゴンセールのような感じで販売されていた。大島区内の商店が管理しているらしい。

 

 

ワニ食べ行こう~「とんが」にまつわるエトセトラ

どうもこんにちは。

みなさんは「ワニ」を食べたことがありますか。私はあります。

先日、会社の同僚と3人で、直江津にある「とんが村」なる居酒屋へ行ってきました。とんが……トンガ? 南太平洋の小さな島国、ラグビーが盛ん、火山が噴火……などなど、ざっくりしたイメージはありますがよく知らない。そしてあやしい外観。

初めは怖いもの見たさみたいな好奇心だけを持っていたのですが、私の職場を定年退職された大ベテランの方が以前から通っているという話を聞き、にわかに気になってきて、今回とうとう行く機会を得ました。

フライドワニ

まず唐揚げ。このお店の食用ワニは、遠くオーストラリアから来ているそうです。ワニ食の本場はオーストラリアなんですかね。味や食感はなるほど、鶏肉に似ています。スパイスが効いていてビールに合います。

ワニステーキ

ついでにワニのステーキも注文してみました。「ステーキ」という語感から、鉄板でジュージュー焼けているものを想像していたので、見た目は正直かなり地味。色が白いので、やはり鶏肉っぽいですね。

食べてみると、唐揚げよりもしっかりした肉感です。しかし臭みのようなものはまったくなく、衣がないぶん旨味をダイレクトに感じます。一緒についてくるサルサソースやにんにくソースにつけて食べると、異国の料理という雰囲気が増してさらにおいしい。

ちなみに唐揚げとステーキはどちらも1000円だったか、1000円+税だったか、それくらいの値段でした。3人でシェアしたので、お値段の割には少し物足りない量。高級珍味ですね。「ワニの手と足」というのもありましたが、こちらはなんと時価とのことで、ちょっと勇気が出ませんでした。

この他に自家製ソーセージやガーリックシュリンプなど、おつまみになるメニューを注文。どれもおいしかったです。ワニやエビをつまみながらノンアルパインサワー*1などを飲んでいると、まさに南国のレストランで食事をしているような気分になってきます。行ったことないけど。

また、南太平洋の国々以外にもタイ料理などの食事メニューもありましたが、パッと見で「これがトンガの郷土料理だ!」みたいなものはよく分かりませんでした。そもそもトンガ料理ってどういうのでしょうね。タロイモ

tongamura.wixsite.com

例のアレの第7波で、海外はおろか沖縄なんかにも行きづらい感じになってきた今、こういうクソ暑い時期にこそ「トロピカル居酒屋」でお手軽に南国情緒を味わってみるのも粋だと思います。

 

 

*1:下戸なので2杯目からはノンアル

「津軽海峡・冬景色」を見に行く旅R(2)

前回はコチラ↓

rockmansion.hatenablog.jp

 

※記事の内容は旅行当時のものです。

2022年1月24日(月)

 旅行2日目。この日は秋田駅から奥羽本線に乗車する。月曜日の通勤通学時間帯からのスタートなので、少し早めに宿を出て駅へ向かったが、ホームへ降りてみるとまだ入線していなかった。

1本前の追分行き。東北ではおなじみの701系

 乗車位置の案内がないので適当なところに立っていると、やがて列車は4両編成で到着し、私の目の前でドアが停まった。折り返し弘前行きとなる列車である。首尾よくロングシートの端に腰を落ち着けると、あとからあとからどんどん高校生が乗り込んできて、満員になった列車は定刻通り秋田駅を出発した。

 住宅街の中を走り、泉外旭川という駅に停まる。耳に馴染みのない駅だと思ったら、昨年3月のダイヤ改正で誕生した新駅であった。日本海ひすいラインえちご押上ひすい海岸駅と「同期」というわけだ。

 このあたりは上り線と下り線が分かれて走っているため、ホームも上りと下りで分かれており、川の中州に当たる位置に駅舎がある。ここで早くも高校生がぞろぞろと大勢降りたが、秋田方面のホームにも乗客が鈴なりで列車を待っており、新駅の掘り起こした需要が見て取れる*1。次の土崎では通勤客らしい人々がぞろぞろと降りて行った。近くにJRの工場があり、通勤客の中にはそちらの関係者も多いかもしれない。

 市街地を抜けるころには、すっかりガラガラになった列車は北上を続ける。左側の車窓には駅名にもなっている八郎潟が広がるのだが、雪で覆われているため他の雪原との区別はつかない。五能線との分岐駅である東能代では、引退したキハ40系が構内の留置線で風に吹かれていた。ここから奥羽本線は進路を東に取り、内陸部へと入っていく。

 大館を出ると列車はいよいよ山深いところへと差し掛かり、青森との県境に位置する矢立峠へ挑む。と言っても長大トンネルで抜けるから、特に難所という感じは受けない。モーターを唸らせていいペースで走っていく。県境越えの需要は僅少のようで車内は相変わらず空いているが、暖房の効きは申し分ない。トンネルを出るとそこは青森県。雪煙を盛大に巻き上げて、冬季休止中の津軽湯の沢駅を通過する。そして秋田を出発しておよそ2時間半、終点の弘前駅に到着した。

 弘前からは五能線の深浦行き普通列車に乗り換える。五能線は2つ先の川部駅から分岐するが、すべての定期列車が弘前駅から発着する。車両は、新潟地区でも運行されているGV-E400系気動車の色違いである。五能線では2020年末から運行を開始しており、1年あまりが経つが、車内はまだ新車の匂いが残る。

 10時23分、2両編成の深浦行きは定刻通り弘前を発車した。川部で進行方向が変わり、列車は五能線に入る。左右の車窓にはリンゴの木が広がり、その奥には津軽富士こと岩木山が見える。頂上付近は霞がかっていて見えないが、かえってそれが幽玄な雰囲気を醸し出していた。

 弘前から40分あまりで五所川原駅に到着。ここで下車し、津軽鉄道に乗り換える。津軽鉄道(通称・津鉄)は、津軽五所川原駅から、太宰治の生まれ故郷で知られる金木を経由し、津軽中里駅までを結ぶ全長20.7キロの盲腸線である。全線非電化で、1両のディーゼルカーがトコトコと走るのどかなローカル線だ。非電化の盲腸線と聞くと、国鉄の赤字線を第三セクターとして引き継いだ鉄道が日本各地にあるので、ここもその1つと思われるかもしれないが、実は純粋なる私鉄。

 一応、JRとホームはつながっているのだが、改札や駅舎は別に存在する。一旦JR側の改札口から出て、駅前で弁当を調達し、津鉄側の駅舎に入り直す私。実にいい風情で、これからローカル私鉄の旅が始まるのだという気分を増してくれる。

 1日12本ある列車のうち、乗車するのは11時50分発の名物「ストーブ列車」。他に夏は「風鈴列車」、秋は「鈴虫列車」というのもあるらしい。

 券売機はないので、きっぷは窓口で購入する。見よ、この情報量の多さ。天井付近に掲げられた金木津軽凧から始まり、風景写真やら運賃表やらポスターやら、壁一面に掲示物がひしめき合っている。その中の一角に埋もれるようにして窓口がある。出札のおばさんから、津軽中里までの乗車券のほかに500円のストーブ列車券を購入。どちらも昔懐かしい硬券で出てきた。ちなみに写真の右側には売店があり、ちょっとしたお菓子や津鉄グッズ、ご当地の特産品なども買える。

 そんなものを眺めていれば待ち時間などあっという間で、やがて改札が始まったので入場した。前回来たときは機関車が牽引していたと思うのだが、今日は普通の気動車が機関車代わりとなって客車を引っ張るスタイル。私のような観光客は後ろの客車に、普段使いの地元のお客さんは前の気動車に乗車するという具合だ。

 客車内はこんな感じ。元は国鉄で使われていたオハ46形という古い客車で、国鉄時代はSLが牽引していたため、ボイラーの熱を引き通したスチーム暖房がついていた。しかし津鉄にはSLがないので暖房が使えない。そこで、車内に新たに石炭ストーブを設置したのが「ストーブ列車」の始まりだという。

 それがこのダルマストーブ。左のバケツに山と盛られた石炭を焚いて、乗客に暖を提供している。赤々と燃える炎が空気取り入れ口の窓からかすかに見えて、見た目にも暖かみがある。

 さて、走り出した。コロナ禍の平日ということでか、乗客はわずかに4~5人といったところ。気動車のほうは見ていないので分からないが似たようなものだろう。コロナ前はおそらく平日でも観光バスで団体客がやって来ていたはずで、空いていて静かな車内はありがたいが、早くコロナが収まらないかなという気持ちになる。

 昼食は、駅前のカフェのようなところで買った「青森シャモロック」という地鶏を使った炊き込みご飯である。お手頃価格だったので量はやや物足りないが、うまい。

 列車はローカル線らしく超チンタラ走って行く。通過駅があるので一応「準急」という扱いらしいが、速度はおそらく30キロ程度しか出ていまい。もっとも、速く走ったら早く終点に着いてしまうから、これくらいの速度が落ち着いて景色を楽しめて、旅行者にはちょうどよい。

 時々、車掌がストーブの様子を見に来る。ふたを開け、山盛りのバケツから石炭を2つ3つ火箸で摘まみ上げて中へ投じる。石炭は釧路産だそうで、どうしてそんなことを私が知っているかと言えば、添乗しているアテンダントさんが教えてくれるからである。そう、ストーブ列車には車掌のほかに地元の人がアテンダントとなって乗車し、車内販売のほか、景色のことから車両のことまで、津軽なまりのアナウンスで教えてくれる。前述のオハ46形のくだりも、実はアテンダントさんの受け売りである。

 約20kmの道のりを45分かけ、終点の津軽中里に到着した。折り返し列車の時間まで駅前を散策してみようと思ったが、45分間ストーブの前でぬくぬくしていた身には津軽の寒風が堪える。少し歩いてみただけでおしまいにして、結局駅舎に併設する建物の中で過ごした。

 往路で乗ってきた列車が折り返すので、帰りもまた気動車牽引のストーブ列車である。今度は一般車でいいかと思ったが、せっかく来たのだからもう一度乗ってやろうと思い直し、津軽中里駅硬券の乗車券とストーブ列車券を買って乗車した。

「あそこで炙られてるスルメ、俺のなんすよ」

 そして往路は我慢していたが、復路ではスルメを購入し、ストーブの上で炙ってもらう。往路でもほかの乗客が購入しており、車内に香ばしいスルメのスメル*2が充満していてうらやましかったので、「買ったスルメを車内のストーブで炙ってもらって食う」という体験も込みで買ったのである。このスルメも地元で水揚げされたイカを使っているそうで、大変うまい。

 同じ列車で同じ景色を行くので、見終わった絵巻を巻き戻すような45分が過ぎ、終点の津軽五所川原に到着。隣のJR五所川原駅から再び五能線に乗り、川部まで戻ってきた。列車はこのまま弘前へ向かうが、私は奥羽本線に乗り換えて青森へ向かう。

 15時41分の青森行きに乗車する。2両ワンマンか、3両ツーマンか……と想像していたら、予想に反して5両もつないだ列車であった。車内は閑散としており、暖房の効いた静かな車内で揺られていると、なんだか眠くなってくる。

 各駅に停まるが乗客の目立った増減もなく、終点青森の1つ手前、東北新幹線との乗換駅である新青森駅まで来た。結局ガラガラだったな、さて乗り換え客はどの程度だろうかとホームへ目を移すと、なんとここへ来て高校生の大群が待ち構えているではないか!

 整列乗車というわけでもなく、とにかくホーム全面にまんべんなくひしめきあっているという有様で、ドアが開くや否や喚声とともに押し入って来、静かだった車内はたちまち叫喚の巷となった。なるほど、これでは5両編成も止むを得ないと納得した私を乗せて、16時25分、列車は定刻通り青森駅に到着した。

 駅前のビジネスホテルにチェックインし、目星をつけていた食堂へ向かったが、あいにくこの日は休業。止むを得ず1時間近く駅前をウロウロした挙句、煮干しラーメンの店へ入った。

 黒い魚粉まみれのドロドロのものではなく、澄んだ色の醤油スープに中太ちぢれ麺が入っているのが青森の煮干しラーメンの特徴。見た目はオーソドックスな中華そばだが、一口すするとめちゃくちゃしょっぱい! しかし煮干しの旨味も感じる。なるほど、東北は塩辛いものが好きな人が多いと聞く。そういうお国柄も味に表れているのかしらと思いつつ、一人、麺をすするのであった。


つづく

 

 

*1:ただし、これでも開業前の予測の3分の1程度に留まっているようである

*2:渾身のダジャレ