鉄路は西から東から

鉄分多めの日常とお出かけの記録

ねんがんの たからづかかげきをみてきたぞ!

どうもこんにちは。

先日、関西を旅行してきました。そのときの模様は旅行記にする……かもしれないですが、正直いつになるか分からないので、今回はその中のメインイベントだった「宝塚観劇」のことだけ、記憶の新しいうちに書きたいと思います。

そう、ワタクシ、とうとう宝塚歌劇を観てきました!!

宝塚歌劇団もとい紅華歌劇団を目指す少女たちの姿を描いたアニメ『かげきしょうじょ!!』に感銘を受け、もともと演劇を観るのが好きだったこともあり、基になった宝塚歌劇もいつか観てみたいなぁと漠然と思ったのが去年の初めごろの話。

rockmansion.hatenablog.jp

↑の記事では「できれば今年*1中に本物の宝塚歌劇を観に行きたいですね」などと安易に書きましたが、ためしに宝塚歌劇団のホームページの空席状況を見てみると、初日から千秋楽まで全公演・全日程完売が当たり前という世界。新潟から距離的に近い東京の宝塚劇場はこれが常態化しており、本拠地の兵庫県宝塚市にある大劇場では、ごくまれに空席があるな……という日もありましたが、じゃあチケット取れたから明日は仕事休んで兵庫まで行くか、なんてことはできるはずもなく。本当に ”いつか” 行けたらいいなとボンヤリ考えるに留まっていました。

それから1年以上経ち、旅行の1週間ほど前にふと宝塚歌劇のことを思い出し、ダメ元で空席状況を見てみたところ、私が関西へ行く3日間(9月11~13日)のうち12日の午前中だけは奇跡的に席が残っているではありませんか。これはまさしく渡りに船。このチャンスを逃したら次はいつ観られるか分からないと、すぐさま予約を取り、今回の旅のメインイベントが「宝塚観劇」に決まった瞬間でした。

 

閑話休題

 

時に2023年9月12日、大阪梅田駅から阪急宝塚線に乗車し、午前10時ごろやって来ました宝塚。ちなみに阪急宝塚線に乗ったのはこれが初めて、宝塚に来るのも初めてです。

宝塚歌劇団はご存知、阪急電鉄の一部門なので、当然ながら駅の構内から駅前に至るまで歌劇一色です。

「宝塚ゆめ広場」と名付けられた駅前広場には、優雅にダンスを踊る二人の銅像が。興味のない時分に、もし乗り鉄の一環としてのみ宝塚駅を訪れていたら「ふーん」で終わったでしょうが、今日はこのめくるめく世界へ私も足を踏み入れるのです。否が応でもテンションが上がってきます。

宝塚マダムやレディに混じって男一匹、「花のみち」という遊歩道を闊歩し、会場の宝塚大劇場へ。紫色のスカーフだのバッグだのを身に着けている人が多いのは、歌劇団の象徴「すみれ」がモチーフなんだとようやくここで気づきます。私も元・すみれ組*2ということで、一つよろしく(意味不明)。

ご紹介が遅れましたが、この右側が本日の演目。『フリューゲル -君がくれた翼-』と『万華鏡(ばんかきょう)百景色』の二本立てです。11時開演で、最初の約1時間半が本格的なミュージカル。30分の休憩を挟み、歌と踊りがメインのショーが約1時間という構成。

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今回は月組*3の公演なんですね。にわかファンですらない初心者なので、トップスター様のお名前などもよく存じ上げませんでしたが、主演は月城かなとさん、海乃美月さんだそうで。

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入口の門をくぐり、建物に入るとお土産コーナーやカフェ、チケット売り場などがあります。さらに進むと改札ゲート。スマートフォン画面の予約票を提示するとチケットが発券され、中へ。出迎えてくれるのが上のロビーです。赤じゅうたんが敷き詰められ、左右にカーブを描く階段、そして天井にはきらびやかなシャンデリア……。おお、これ『かげきしょうじょ!!』で見たことある!(興奮)

客席と舞台の様子です。客席は2階建てで、私が座ったのは2階の後方にあるB席の左端あたり。お値段3,500円也。そう、結構お手頃な値段から観劇できるんです。と言っても、安いのでいいやとB席にしたわけではなく、残っていたわずかな空席というのがB席の端のほうでした。たぶん高いほうから売れていくんだろうな。私が予約したときにまだ空いていた席にもちゃんと人が座っていて、あれから満席になったようです。

そして驚いたのが舞台との近さ。写真では遠近感が伝わりづらいですが、2階の後ろの端っこなんてトップスター様は米粒みたいにしか見えないんだろうと思っていただけに、意外と近く感じてビックリ。さすがに細かな表情や仕草、衣装の意匠*4までは分からないので、お隣のレディのように双眼鏡が必要でした。

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さて、まず第1部のミュージカル『フリューゲル』。1988年、東西分断されていた時代のドイツが舞台です*5。首都東ベルリンで行われるコンサートのため、東ドイツの青年軍人 ”ヨナス・ハインリッヒ”(月城かなと)のもとに、西ドイツのポップスター ”ナディア・シュナイダー”(海乃美月)がやって来ます。彼女の警護がヨナスの任務なのですが、少し堅物なヨナスは自由奔放なナディアに振り回されっぱなし。顔を合わせるたびにケンカをする始末です。しかし、ナディアが歌った「フリューゲル」という曲を耳にした途端、ヨナスは幼少期の記憶がよみがえり、次第に心惹かれるようになります。

観た人にだけ分かる、とあるシーン(再現)

宝塚オリジナル作品ということでどんなものかと思いましたが、時代が近いこともあり、さらに私自身は近現代以降の日本史や世界史が好きなので、物語の世界観にすぐ入り込めました。大がかりな舞台装置を使って、ステージの上で次々に場面が展開していくため、約1時間半ちっとも退屈せず、時おり挟まるアドリブ(?)やメタ発言が笑いを誘います。クライマックスは感動して涙してしまいました。

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第2部の『万華鏡百景色』は打って変わって東京が舞台。江戸から令和まで、輪廻転生する花火師と花魁の恋物語を軸に、時代とともに移り行く文化、街の姿、そして人々の有り様が描かれます。演者たちが当時の衣装に次々と身を包み、縦横無尽に歌って踊るショーはまさに万華鏡のようです。ちょっとダークな雰囲気の場面もありましたが、曲がアップテンポになるたび会場には手拍子が沸き起こり、観客も一体となって盛り上がりました。

ラインダンス(ロケットとも言う)

あと、宝塚歌劇といえば脚を交互に高く上げて一糸乱れず踊る「ラインダンス」と、スターたちがシャンシャン(飾り物)を持ち、背中にクジャクのような大きな羽をつけて大階段から降りてくるシーンが定番ですが、あれもちゃんとありました。まさに「これこれ!これが観たかったんや!」と、初心者が思い描いた通りの「ザ・宝塚」が目の前で繰り広げられ、3,500円では申し訳なくなるくらい大興奮でした*6

いやあ、非常に良かったです。案の定9割がたは女性ファンですし、劇場の設備や各種サービスなどがそういうふうに作ってある面も少なくないですけれど、私のように男一人の客もチラホラ。夫婦やカップル、さらには野郎同士で来ているような若者グループもおり、別に浮くことはありませんでした。たぶん。ビバ多様性。「男が一人で行ったら云々」なんてのはまったくの杞憂です。

花のみちと創設者・小林一三の像

今回観た月組男役トップの月城かなとさんは、高校時代に同級生から借りたビデオで宝塚歌劇に心奪われ、そのあと生で観劇してのめり込んだことが、タカラジェンヌを志したキッカケだったそうです。『かげきしょうじょ!!』にも、幼いころに見た歌劇に憧れて、それを目指す少女が多く出てきますが、確かにこれを見たら人生変わる人もいるだろうな、とアラサー男が感じるくらいに素晴らしい初・宝塚でした。チャンスがあればぜひまた観たいと思います。

その前に私は『かげきしょうじょ!!』の舞台を観に行くつもりなのですが、それはまた別の話。

 

 

*1:2022年

*2:通っていた保育園の年中組が「すみれ」だった

*3:花・月・雪・星・宙組の5つと専科がある

*4:渾身のダジャレ

*5:「フリューゲル」はドイツ語で「翼」のことらしい

*6:あとでお土産いっぱい買いました😊