鉄路は西から東から

鉄分多めの日常とお出かけの記録

413系の急行色がそんなにありがたいか

どうもこんにちは。

えちごトキめき鉄道(以下トキ鉄)の所有する413・455系電車が、現在の「交直流急行色」から「新北陸色」に塗り替えられると発表されました。

トキ鉄の413系。2022年撮影

「交直流急行色」としては2026年1月12日までの運転となり、その後は運用を離脱して「新北陸色」へ塗装の変更を施したのち、同年3月中旬(おそらくダイヤ改正直後)から再び復帰するとのこと。

www.echigo-tokimeki.co.jp

これが発表されるや、ネット上ではその塗装変更を巡って賛否両論が巻き起こりました。両論と言ってもネガティブな意見のほうが目立ちやすいのがインターネット、特にSNSという空間。実際の割合としては、期待や理解を示す意見のほうが多いように思います。ちなみに私は「新北陸色」への塗り替えに賛成です。

ただし、一部の反対派の意見が先鋭化し、トキ鉄の公式SNS等に対して感情的なコメントを寄せているのが目に余るので、いち鉄道オタクとしてのお気持ちを表明しておこうというのが今回の記事です。

 

まず、413系とは……何か(ネットリ)

トキ鉄で運行されている413・455系は、かつてJR西日本七尾線で使われていた車両です。これが新型車両へ置き換えられる際、413系1編成(3両)と455系(クハ455-701)1両の合計4両を、トキ鉄の前社長であった鳥塚亮氏が購入すると表明。その後、石川県の松任*1にあるJR西日本の工場にて譲渡前の整備が行われ、くすんだピンク色にクリーム色の帯を巻いた「交直流急行色」になりました。

トキ鉄へ来たあと、413系のみで構成されていた3両編成のうちの1両(クハ412-6)をクハ455-701につなぎ替え、クハ455-701+モハ412-6+クモハ413-6という編成になりました。「413・455系」という表記がなされるのはこのためです。

奥からクハ455-701+モハ412-6+クモハ413-6。2022年撮影

413系は、国鉄時代に製造された急行用電車の空調装置や台車などの部品はそのままに、ガワ(車体)だけを新造してつくられた車両です。その際、ドアの位置を変え、片開きから両開きにしたり、デッキを撤去したり、ドア付近の座席をロングシートにしたりといろいろな改良を施し、都市部の普通列車として使えるようにしたのです。

一方の455系は、余った中間車*2を先頭車へと改造してつくられた車両です。車内の造形は413系と同じですが、「ガワはまだ新しいからそのまま使っちゃおうね~」となり、原形となった急行型の姿を残した片開きのドアとなりました。

両開きドアの413系(左)と片開きドアの455系。2013年撮影

 

そもそも急行色はニセモン

さて、旧北陸本線をはじめ、日本各地を走り回っていた「往年の急行電車」を再現するべく、「交直流急行色」になった413・455系。ヘッドマークや種別幕風のステッカーを付け、雰囲気もバッチリ。まるで国鉄時代にタイムスリップしたかのよう……と言いたいところですが、本当にタイムスリップしたとしてもこんな電車は存在しません。実はこの車両がこの「交直流急行色」をまとっていたことは一度もないのです。

新北陸色の電車たち。左は413系、右は419系。2010年撮影

落成当初は赤色に白い帯の塗装*3でしたが、JRになってから白地に青い帯へと変更されました。これが今回、塗り直すことになった「新北陸色」です。この塗装は長いこと使用され、北陸本線普通列車といえばこの色をイメージする人も多いことでしょう。経費削減の一環として2012年からは、北陸本線を走る普通列車用の国鉄形車両は青一色、七尾線のそれは赤一色の塗装になり、2021年にトキ鉄への譲渡が決まります。

青一色になった北陸本線の車両。2013年撮影

前述のとおり、413系も455系も、「国鉄時代につくられた急行用電車を(魔)改造して、普通列車として使えるようにした車両」なんですね。つくられた目的からして「急行型」ではないのです。あえて言うなら「近郊型」ってやつ。455系は見た目こそ急行型っぽいので、たしかに雰囲気はよく出ていますが、乗ってみれば車内にデッキもなく、車端部にはロングシートが鎮座。ボックスシートも飲み物を置けるような小さなテーブルすらなく*4、センヌキなんて夢のまた夢。まあ、沿線から撮っているだけの人には分からないでしょうけど。

ていうか、外から撮っているだけなら413系のほうが違和感あるでしょう。だってドアが両開きなんですから。細かいことを言いだせばキリがありませんけれど、早い話、「交直流急行色」の413・455系は「コスプレ」なのです。これを過剰にありがたがっているオタクは、観光地でサムライやニンジャの格好をしたスタッフを本物だと思って写真を撮っている外国人と同じです。

……いや失敬、これは少し言い過ぎでしたね。しかし「交直流急行色」をまとって運行を開始してから、すでに4年になります。鳥塚信者だか国鉄至上主義者だか知りませんが、塗装変更に文句を言っているオタクには、この4年間いったい何をしていたのか? と問いたい。私もトキ鉄の「観光急行」には(記事にはしていませんが)何度か乗りましたが、1両に4~5人しか乗っていない、なんて日もありました。もう賞味期限切れでしょう。これをまた同じ色に厚化粧し直したとて、いったいどれほど話題になるのか。

金沢駅で発車を待つ413系。2013年撮影

だから、ここへきて塗装を「新北陸色」に変更するのは、413系が一番輝いていた時代——数多の特急列車が北陸路を駆け抜けていた時代の、 "名バイプレイヤー" たる本来の姿に戻すことでもあると言えましょう。トキ鉄の413・455系は2027年度、すなわち最長で2028年3月までの運行であることがすでに公表されています。残り2年ほど。どうせ限りある命ならば、最後にもう一花咲かせてやろうとチャレンジするのは、決して悪いことではないと思います。

 

413系のこれから(妄想)

ここからは、今後トキ鉄は「新北陸色」になった413・455系をどうしていくのだろうか、というお話を少々。まだ塗装変更を行うことしか明らかになっていませんので、完全に私の妄想です。

まず「観光急行」というあり方について。これはもう急行色ではなくなる以上、やめると思います。なぜか「新北陸色に変えて何が昭和だ!そんなもののどこが急行だ!」と噴き上がっているジジイオタクも観測しましたが、色を変えてなお急行ヘッドマークをつけて走らせるような、そんなチグハグな真似はしないはず。

急行列車としての姿はもう見納めになるからこそ、ヘッドマークの人気投票を実施し、12月は大型のヘッドマークを取り付けて運行します、とホームページでアナウンスされているのだと思います。

その「観光急行」は2025年3月から急行券が廃止になり、普通の乗車券や定期券だけで乗れるようになっています。ですから、実質的に「観光快速」となっているものが、名実ともに「土休日だけ走る臨時快速」になるのではないかと。……そういえば、かつて北陸本線にはそんな列車が走っていましたね。言わんとすること、あとは分かるな?(笑)

快速〈ホリデーライナーかなざわ〉2008年撮影

どうしても塗装変更が承服できぬというオタクは、2026年1月12日がこの電車の引退する日だと思って、それまでに足しげく通ったらよろしいでしょう。元より廃車になる運命だった車両なのだから。塗り替えに賛成のオタク(私もその1人)は、現在の急行列車としての姿を最後まで楽しみつつ、来年3月のリニューアルを待ちましょう。 "あのときのJR北陸本線" が直江津に、有間川に、筒石に帰ってくるその日を。

 

 

*1:まっとう

*2:運転台のついていない車両

*3:「旧北陸色」と呼ばれる

*4:イベント使用時には後付けのテーブルが設置されることがある