鉄路は西から東から

鉄分多めの日常とお出かけの記録

“旅は自由席”――暖冬道東一周旅行(4)

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第3回はコチラ↑

 

根室駅→納沙布岬

根室本線の快速「ノサップ」で根室駅へ到着した私。ここからはバスに乗車し、列車名にもなっている日本最東端の地・納沙布岬へ向かいます。

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列車に接続する形で、いい具合に納沙布岬方面行きのバスがあるため、駅前のバス案内所で往復の乗車券を購入。バスもこうやって事前に乗車券を買えると安心ですな。やって来たバスに乗り込みます。

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根室市街の標識には、日本語、英語のほかにロシア語の表記も。そういえば、以前に訪れた稚内でもロシア語が併記されていました。稚内はサハリンとの間にフェリーが運航されている*1ので想像がつきますが、根室もやはりロシアと近いだけあって、つながりは深いのですかね。

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バスは市街地を抜けて郊外へ。なだらかな坂を下る、まっすぐな道が海のほうへ向かって伸びています。道路脇のポールには路肩を示す紅白の矢印が。地元の人には何でもない景色でしょうが、ヨソ者はこういうのを見ただけでも「ああ、自分はいま、北海道にいるんだなあ」と興奮するんですよね……。

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40分少々の乗車で、終点の納沙布岬に到着。他に一人旅らしき観光客2人が下車。日本最東端を観光すべく、おのおの何となく別方向へ歩き出します。帰りのバスまでは50分あまり、こちらもうかうかしていられないので、ここからはペースを上げて読者の皆さんと名所を回りましょう。

 

納沙布岬のモニュメントいろいろ

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まず最初に目についたのが、この巨大な茶色いアーチ。これは「四島のかけ橋」というもので、碑文にいわく歯舞・色丹・国後・択捉の北方四島の返還を願って建てられたものだとか。中央には燭台があり、「祈りの火」と題された炎が、北方領土の返還が実現するその日まで四島に向かって燃え続けているといいます。

……まァ、実際は火災防止のために、併設する資料館の開館時間しか燃えてないんですけどね(笑)。こういうのは気持ちですから。

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続いては北方館。これまでの北方領土返還運動の歴史や、関連する資料などが紹介されています。2階にある展望室には望遠鏡が設置されており、ロシアの沿岸警備艇が航行する様子を覗き見することができ*2、さながらスパイ気分(笑)。

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かわいらしい見た目や口調と裏腹に、Twitterで硬派なクイズを繰り出してネット上のオタクたちのハートをワシ掴みにした、あの北方領土ゆるキャラエリカちゃん」にも会えます。

 

  

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最後に、「納沙布岬」の名前が入った標柱の写真を。あ、そうそう、北海道には「ノシャップ岬」というそっくりな名前の岬がもう一つありますが、そちらは稚内にある全くの別物ですので念のため。

後ろに見えている白い灯台が、最東端に立つ納沙布岬灯台です。水平線の上に見える島影は歯舞群島の島々。そう、あそこはもうロシアなのです。

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政治色のないバージョンも。「本土」というのは、一般人が行ける場所、北方領土を除いた、という意味でしょうな*3

それにしても今日、本当にいい天気すぎません? 雲もほとんどなく、目の前に広がるのは、抜けるように青い空と海のみ。ワタクシ、わりと「晴れ男」だという自負があるんですが、それにしてもバチが当たるんじゃないかと思うほどの快晴であります。

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遠く国後島の白い山脈もご覧の通り*4。望遠鏡に頼らずとも、肉眼ではっきりと見ることができました。

さて、名残惜しいですがそろそろ帰りのバスの時間。納沙布岬バス停から、ここまで連れてきてくれたのと同じバス*5に乗車し、根室駅へ戻ってきました。

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16時11分発の普通列車釧路行きに乗車します。特急「スーパーおおぞら」に乗り継いで、今日中に札幌へ到達できる最終便ですが、お客は少なく、私のほかに2~3人ほど。これが日常なのでしょう。

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日本最東端の駅は隣の東根室駅(無人駅)なので、ここ根室駅は「日本最東端有人の駅」。滝川駅を起点とし、総延長443.8キロにも及ぶ根室本線の果ての果て、その線路の尽きる先へと沈んでいく夕日です。日本で一番早い日没でもあります。

 

宿のある釧路へ。そしてついに「衝撃」

列車は定刻通り根室を発車。次の東根室駅で学生がぞろぞろ乗ってきて、いっとき車内は賑やかになりましたが、駅へ着くたびに一人、また一人と降りていきます。往路にも乗っていた「前面展望おじさん」が、また懲りもせず運転席の後ろに張り付いているのを尻目に、私は来たときと逆側の進行方向左側に陣取り、暮れていく海をぼんやりと眺めます。今度は普通列車なので往路よりも時間がかかり、来た道を戻るだけなので退屈でないこともありません。

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車窓が暗くなっていくのも日本一早いので、そうなると景色も見えず、あとは本を読んだり、スマホをポチポチして今宵の宿の場所や夕飯の目星をつけたりして時間をつぶします。

時折、けたたましい汽笛とともにブレーキがかかります。往路と同じく、エゾシカが線路内に侵入しているのです。駅の周辺以外は人家の明かりも街灯もほとんどなく、まっくらな闇の中をヘッドライトの明かりだけを頼りに走っている状態ですから、直前まで発見するのも難しく、危険度は増しているのでしょう。

そして――列車が厚床駅を発車し、姉別駅へ向かっていたとき、“その瞬間”が訪れました。

 

\ピィピィピィピィピィーーーー!!/

プシューッ ギィーッ……

_人人人人人人人人人人_
> ド ン ッ !! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

ガリガリガリバリバリバリ!!/

ギィィイイイイッ!!

ガクンッッ……(停止)

 

(  ゚д゚)←私

 

とうとう列車がエゾシカと衝突したのです。運転士がマイクで車内放送しましたが、瞬間は見ずともその一部始終を音や衝撃で分かっていたので、ほとんどの乗客は慌てず騒がず。謎にテンションが上がっている(?)のは例の前面展望おじさんだけ。

その後、運転士が無線で指令と連絡を取り、列車を降りて確認しに行きました。私も席を立って最後部から様子をうかがってみましたが、あたり一面闇に閉ざされ、ひいたであろうシカの姿はもちろん、周りに何があるのかさえ分かりません。

やがて、状況確認と列車の点検を終えた運転士が戻ってきて、異常がないことが確認されたため列車は発車。厚岸駅などで数人の客を拾い上げた列車は、8分遅れで終点の釧路駅に到着しました。

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接続を取るために待っていた「スーパーおおぞら8号」へと慌ただしく乗り換えていくお客もちらほら。私は釧路泊なので、のんきに列車の写真を撮ります。車両の前面を見た感じ、シカと衝突した痕跡は分かりませんでした。

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車番はキハ54 514。あとで知りましたが『思い出のマーニー』に登場した車両だったんですね。

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さて、駅からほど近いビジネスホテルにチェックインを済ませ、夕飯を食べに出かけます。時刻はすでに20時近くなっていました。

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……で、詳細は省きますが某居酒屋の店先で不愉快極まりない経験をするなど、紆余曲折があり、最終的には泉屋本店というレストランで「スパカツ」を食べました。スパゲッティの上にトンカツを載せ、その上からミートソースをかけた、釧路市民のソウルフードだとか。夕食難民になって右往左往したあとだったので、ボリューム満点のスパカツが一層おいしく感じられました。

 

 

つづく

 

 

*1:2019年から休航中

*2:ご丁寧に船種の解説もある

*3:ちなみに本当の最東端は南鳥島

*4:黒い影はレンズのゴミです

*5:近くの駐車場で休んでいた

スイフトスポーツ納車さる

どうもこんにちは。

北国の秋は駆け足で、あっという間に冬へ至ると毎年相場が決まっているものですが、なんだか今年は特に早足な気がします。朝晩の体感気温はもう冬ですね。

 

さて、このたび私、スイフトスポーツ(ZC33S)を購入しました!

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ジャーン!!

契約を結んだのは7月の上旬、納車は9月の初め。新車です。新型コロナの影響でどのくらいかかるか心配でしたが、ふたを開けてみれば2ヶ月弱で納車されました。

あ、ちなみにATだよ。一応MTも運転できるけどね。や、スイスポのくせにとか言うな。だってATのほうがラクじゃん。いいんだよ、ラクをするために車を買ったんだから。たまたまそれがスイスポだったというだけの話です。

 

私にとってはこれが初めての車ではなく、実はもう3台目。3台目と言っても3台所有しているわけではありませんので、3"代"目と言ったほうが適当かも。

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記事を読んでもらえば分かるとおり、わずか3年のうちに3台目であります。お前は何を考えているんだ、いったい金持ちのボンボンかと思われそうですが、これには理由があるのです。

 

 理由: 親に譲ったから。

以上。

 

もう少し詳しく説明しますと……実家の両親の車がそれぞれ車検切れを迎え、どちらも経年車なのでそろそろ買い替えようか、しかし目先のまとまった金がない。そうだ息子よ、おまえ新しい車を買いなさい。いま乗っている車は私たちが残りのローンを払って乗るから……と、こうなったわけ。

1台目のセルボは母親に、2台目のデイズは父親にローンごと譲りました。こうした家庭の事情もあって、短期間で買い替えることに。

 

買い替えの話が具体化する前から、デイズの次は普通車がいいかな、と目論んでおりました。

ただ、クソでかSUVなぞ買ったって持て余すし、普段は自分一人しか乗らないんだからコンパクトカーがいいだろう。かと言ってノートやヴィッツじゃつまらん。フィットは職場の人間が何人も乗ってるから却下。デミオでもいいけどマツダ車は全部同じ顔だし*1。それじゃ、スイフトが安くてカッコイイからスイフトRSだ!

しかしいざ見積もりを取ってみると、RSにしてもスイフトスポーツにしてもあまり値段が変わらない。それどころか、この価格差でこの性能差なら明らかにお買い得ではないか……?

気がついたらスイスポを契約していました(笑)。

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教習車*2以来の普通車、しかも3ナンバーということで初めは車幅感覚の違いに戸惑いましたが、1ヶ月もすると慣れました。慣れてくると、力もあるし、よく曲がるし、運転しやすいからどんどん楽しくなります。

納車から10日で1000キロ、1ヶ月で1500キロも走ってしまい、1ヶ月点検を受けに行った際に担当営業氏から「えっ……結構乗りましたね……(^^;;;」と若干引かれるなど。

唯一の懸案事項は、スイスポはFFなので、これから雪国の冬を迎えてどうなるかという点。今まで乗っていたセルボもデイズも四駆でしたので、あまり心配はしていませんでしたが……。

まァ、あんまり雪深いところには行かないようにしますかね。職場はすぐ近くだし、スーパーもコンビニも徒歩圏内にあるので、 仮にドカ雪が降っても徒歩で何とかなるでしょう。

あと少ししたら冬タイヤに履き替えます。実は、スイスポを契約する前にガレージオフを覗いたところ、ホイールは純正でタイヤも1年しか履いていない上物が売られており、あろうことか車が来るより先に買ってしまったのですが、それはまた別の話。

 

 

*1:個人の感想です

*2:アクセラ

“旅は自由席”――暖冬道東一周旅行(3)

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第2回はコチラ↑

 

釧路駅根室

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札幌駅に停車中の「スーパーおおぞら1号」

札幌駅から乗車した特急「スーパーおおぞら1号」で釧路へ降り立った私。今日はここで一泊するのですが、さすがにこれで今日の予定は終わり、ではありません。快速「ノサップ」に乗り換えて根室へ向かいます。

どうせ釧路に戻ってくるので、着替えなどが入っているボストンバッグは釧路駅に置いて、ここから先は財布やスマホなどの最低限の荷物だけで旅を続けたいところ。ついでに昼食も調達しないと、飲まず食わずで根室まで行く羽目になります。

JR北海道から与えられた乗り換え時分は13分。“釧路駅RTA”が始まりました。

ちょうど「スーパーおおぞら1号」は駅舎側のホームに到着するので、すぐさま改札を通り、まずコインロッカーを探します。と言っても釧路駅は一度来たことがあって、勝手は分かっているので大丈夫。改札を出て左に行けば何とかなる。

そうしてコインロッカーは無事に確保。続いて昼食です。初めはキヨスクで弁当でも買おうかと思いましたが、駅ナカにおにぎり屋さんを見つけたので、こちらで購入。他にもお客さんが大勢いて賑わっていましたが、首尾よくテンポよく買えました。あとは、「ノサップ」の座席の確保ができるか否か――!

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結論から言いますと、大丈夫でした。車内はロングシートのほか、なんだか特急のようなテーブル付きリクライニングシートが並んでいて豪華な感じ。海側は残念ながら埋まっていましたが、反対側に空いている座席を発見*1。これなら昼食も気兼ねなく取れそうです。

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「ノサップ」は、北海道ではおなじみのキハ54形という車両で、たったの1両編成でした。ワンマン列車ですが運転台には乗務員が2人。便乗か添乗か、あるいは見習い運転士とその師匠でしょうか。ちなみに、ご覧の通り『ルパン三世』のラッピングが施された車両です。沿線の浜中町が、原作者のモンキー・パンチの生まれ故郷だからです。

荷物を預け、昼食を調達し、座席も確保できました。釧路駅RTAをコンプリートしたところで、列車は定刻通り発車。ここから先、根室までの根室本線区間は「花咲線」の愛称がつけられており、私にとっても未踏の区間であります。

釧路川を渡り、釧網本線と分岐する東釧路駅に停車。駅前にスーパーがあるためか、地元民とおぼしき乗客がぞろぞろと乗って来て、座席は大半が埋まりました。

釧路市のお隣、釧路町の玄関駅である別保駅を出ると、車窓は一気に山がちに。人家もほとんど見当たらず、文字通り人里離れた山奥を走って行きます。景色が単調になってきたのと、お腹も減ってきたので、昼食を取ることにします。

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先ほど釧路駅で買った、北海道名物「ザンギ(唐揚げ)」と、鹿肉のおにぎりです*2。残念ながら出来たてというわけではなく、もちろん車内には電子レンジなどもありませんから、冷えたまま食べると具もごはんもちょっと固くてポソポソします。しかしコンビニのおにぎりに比べると、1つが大きいので満足感もあり、特に鹿肉は初めてでしたが癖もなく食べやすい。

すると突然、列車がけたたましい汽笛を鳴らし、強いブレーキがかかりました。おにぎりを持ったまま、首を伸ばして何事かと前方を見る私。やがて列車はブレーキを緩めて再び加速。窓の外には――

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/おいす\

お前か~~~~~!!

そうです、エゾシカが線路内に立ち入っていたのです。上の写真は翌日の釧網本線で撮影したもので、一匹しか写っていませんが、数匹の群れでぞろぞろと線路を横断する連中もいます。

また、汽笛に驚いて逃げるのはまだいいほうで、汽笛を鳴らしてもギリギリまで逃げず、そうかと思うとレールに沿って列車と同じ方向に走り出すやつもいるから始末が悪い。

そしてエゾシカとぶつかりそうになるたびに、釧路を発車したときから一度も座らずにずっと列車前方に陣取っていたオッサン2人が、ここぞとばかりにカメラを向け、シャッターを切りまくります。ははあ、こいつら純粋に鉄道大好きで前面展望していたというより、これを狙っていたんだな。

その後も何度か同じように非常汽笛→急ブレーキのコンボが続き、急停車する*3場面も。私のような余所者は心中穏やかではありませんが、地元の人は勝手知ったるもので、「ああ、またか」といった様子。

初めは便乗か添乗か、あるいは師匠と弟子かと思った2人体制の乗務員も、ひょっとしたら、万一エゾシカをはねた場合に備えた保安要員だったりして……。

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エゾシカ(と乗客)を驚かせつつ、しかし衝突することはなく、森を抜けて平地に出てホッとしたところで、列車は無事に厚岸駅へ。ここで乗客の半分近くが下車しました。多くは釧路~厚岸の区間利用の地元客でしょう。厚岸までは一定の需要があるようで、釧路から来てこの駅で折り返す列車もあります。

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厚岸といえば牡蠣の町。スーパーやデパートの駅弁フェアでおなじみ「かきめし」も当地の駅弁です*4。私は牡蠣が好きなので、いつか牡蠣を食べるために下車してみたいものです。

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次の茶内駅は、『ルパン三世』原作者モンキー・パンチ*5の出身地です。色褪せた駅名標の脇には、それを示すポールと銭形警部の姿が。茶内の次は町名でもある浜中駅ですが、利用者は茶内のほうが多いようです。

厚岸以来の交換駅である厚床では、交換列車もなくすぐに発車……のはずが、発車時刻を過ぎても一向に動き出す気配がありません。どうしたものかと前方を見ると、信号機は赤。運転士が無線で指令と何か通話している様子ですが、声までは聞こえません。

定刻より6分過ぎたところでようやく信号が変わり、「ノサップ」は厚床を発車。しかし遅れの理由については何も説明がありませんでした。転轍機の不具合か何かでしょうか。広大な北の大地では、6分程度の遅れなど気にする人はいないのかしら。

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INSPECTOR ZENIGATA(迫真)

やがて車窓右手には太平洋が広がります。「スーパーおおぞら」の車内でもさんざん眺めた海と同じですけれど、キハ54の窓を通して見るとまた違った味わいがあるものです。

根室市街を通り、列車は終点の根室駅へ到着。ここからは、バスで納沙布岬へ向かいます。

 

つづく

 

 

*1:リクライニングシートから埋まると思いきや、ロングシートに座っている客も。短距離利用の地元客かしらん

*2:そういえば朝食もおにぎりだったな……と気づいたのはこの時

*3:キハ54のような古い車両は、非常ブレーキを使うと完全に止まるまで緩解できないため

*4:事前予約すれば出来たてをホームまで届けてくれるらしい

*5:余談だが私はモンキー・パンチ先生と誕生日が同じ

うなれMT54!115系「軽井沢リゾート」ラストラン乗車記

どうもこんにちは。

6月28日にラストランとなりました、しなの鉄道115系を使用した特別快速「軽井沢リゾート4号」に乗車してきましたので、今回はそのお話でも。

 

2020年6月28日(日)

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 直江津駅から、えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインに乗車。しなの鉄道北しなの線との接続駅である妙高高原を目指します。お天気は予報通りあいにくの空模様で、妙高山は見えませんでした。

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 終点の妙高高原駅から乗車するのは、軽井沢行きの特別快速「軽井沢リゾート4号」。「軽井沢リゾート」は3月のダイヤ改正から走り始めましたが、本来これに充当される新型車両「SR1系」が7月デビューとなったので、それまでの繋ぎとして115系2両編成*1で運行されていました。今日はそのラストランの日です。

 新型コロナがどうのこうのと言い始める前から人混みは大嫌いな私。ただでさえ2両編成で定員が少なく、おまけに同じ穴のムジナばかり満載した列車なぞ御免こうむると思って早めに乗りたかったのですが、外出自粛やら仕事の都合やらで、結局ラストランに乗る羽目になってしまったのもまた何かの縁でしょう。

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 しかし、できることなら座りたい。少しでもいい席が取りたい。

 そう思って所定の接続列車よりも一本早いはねうまラインで来たものの、長野方面から折り返し「軽井沢リゾート4号」となる普通列車に乗ってきた鉄オタのほとんどが、妙高高原に着いてもそのまま座席に居座ってしまっており、まったくの無駄骨となりました。

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 最終日の「軽井沢リゾート4号」は青とクリーム色の車両。横須賀色とか、スカ色と言われる塗装です。その名の通り横須賀線総武線、中央線などでお馴染みだった色ですね。

 ボックスシートは大方塞がってしまっているので、やむを得ず進行方向左側の、ドア横の2人がけシートに着席。隣のホームには、えちごトキめき鉄道のリゾート列車「雪月花」がやって来たので、私もムジナになって写真を撮りながら発車を待ちます。

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 16時47分、定刻通り妙高高原を発車。この時点で座席は大部分が埋まっています。北しなの線はこれから長野へ近づくたびに乗客が増える一方のはずですが、大丈夫でしょうか。

 黒姫を発車したら車掌が巡回してきたので、持っていた妙高高原~長野の乗車券を、軽井沢まで乗り越し精算してもらいました。「軽井沢リゾート号」は2両ですがツーマン運転なのです。

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妙高高原から使用した乗車券(補充券)。別日撮影

 そうしているうちに列車は古間を通過。北しなの線はJR信越本線時代も含めて各駅停車しか乗ったことがなかったので、なんだか新鮮な感じ。

 牟礼でまた少し乗客を拾い、善光寺平を下に見ながら山を下りていきます。進行方向左から飯山線の線路が寄り添ってくると豊野です。心配していた乗車客も大したことはなく、立っている人も何人かいますが密と言うにはほど遠い状況。

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 平地になったので列車は少しスピードも上がり、三才、北長野を通過。お馴染み211系やらキハ110系やら383系やら、さらに廃車になった189系や化粧直し中のE257系が寝ている長野総合車両センターの脇を通って長野へ到着しました。

 区間利用の地元客といった風情の人はここで下車しましたが、私を含め乗り通しが目的の鉄オタが少なくないので大して乗客も減らず。妙高高原を発車する際はボックスシートに座れなかったことを残念に思ったものの、知らないオタク同士が狭い115系のボックスに膝を突き合わせて座っている様子*2を見たら、足を伸ばせるロングシートに座っているほうがラクでした。

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新型車両デビューを知らせる広告と、乗車した115系の車番

 長野から先、しなの鉄道線とJR篠ノ井線の分岐駅である篠ノ井まではJR信越本線ですが、篠ノ井線はもちろんしなの鉄道線の列車も全列車そのまま長野駅まで乗り入れてくるので、あまり存在感のない「信越本線」であります。そもそも越後に行かねぇし。

 長野を出ると次は戸倉。前述した信越本線内の駅は全て通過です。線路の規格が良くなったためか、「軽井沢リゾート4号」は北しなの線内よりもスピードを上げ、MT54モーターの爆音を信州路に轟かせながら走り出しました。文字通り「爆走」であります。日曜日、そして115系最終日ということもあってか、沿線には撮り鉄のほか電車を見に来たらしい親子連れも多く、警笛をぷあぷあと愛想よく鳴らしていました。

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 分岐駅の篠ノ井でも速度を落とすことなく、ホームを踏み潰すように通過し、颯爽としなの鉄道線へ乗り入れていきます。新潟にも115系を使用した快速列車がありますが、まったく痛快です。2020年にもなって、国鉄型電車を使った特別快速に乗れるなんて思いませんでしたよ。

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参考:新潟地区の115系快速(一例)。別日撮影

 戸倉に停車。戸倉上山田温泉の最寄り駅なので停車するのでしょう。しかし温泉に行くような恰好の人はまったくおらず。次はしなの鉄道の本社もある上田です。ここで軽井沢行きの普通列車に緩急接続しました。

 さて、上田を発車すると、いよいよ次は終点の軽井沢。これが「軽井沢リゾート4号」だけの特徴で、上田~軽井沢間は途中無停車です。新幹線かよ。まるで往年の特急「あさま」――それどころか、かつて「あさま」が全列車停車していた小諸まで通過してしまいます。これを2020年に115系がやるんですからシビれます。

 その小諸駅はJR小海線との乗り換え駅。駅を出てからしばらくの間は、しなの鉄道小海線は線路が並行しています。と、ここで驚くべきことが。なんと、先に小諸駅を発車していた小海線の列車を、こちらの列車が追い抜いて行くではありませんか。

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 ダイヤグラムの偶然の産物か、はたまた仕組まれた演出なのか。まるで『鉄道員』の冒頭のワンシーンのようです。ラストランという非日常感も相まってか、異なる会社の異なる路線に乗った見知らぬ乗客同士が、互いに手を振り合ったり、会釈を交わしたり、一瞬の出会いと別れを楽しんでいました*3

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 夕暮れ迫る浅間山の姿を見ながら、列車は定刻通り、終点の軽井沢駅に到着。到着前には、車掌から無事にラストランを終えることができた旨の謝意を伝える放送が流れました。ほどなくして「回送」表示になった後も、ホームでは、ラストランの大役を終えた115系の姿をカメラに収める乗客が絶えませんでした。

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 その後、長野方面へトンボ返りするオタクや新幹線で関東へ戻るオタクを尻目に、翌日も休みだった私はキャンペーンを行使して、軽井沢駅前のアパホテルへ「2600円」で泊まったのですが、それはまた別の話。

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タイムズの看板の色は自重していても、社長の顔写真は自重しないアパ

 

 

*1:当初3両編成だったがコロナ禍で途中から2両に減車

*2:Twitterエゴサしてたら、ぶつぶつ文句を言っているオタクを見つけて草

*3:新車になってもダイヤはそのままなので、この光景は毎週繰り広げられているのだろう

君は「アンバサ」を知っているか

どうもこんにちは。

 

突然だが皆さんは「アンバサ」をご存知だろうか?

「アンバサ? アンバサダーのこと?」

そうではない。てかアンバサダーって何だ。……大使、代表、代理人、などの意味だそうです。

違う。私が言っているのはアンバサ、である。

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これがアンバサ。

おお、懐かしい! と思う人はたぶんオジサン・オバサン。何これ? 見たことあるような気もする……と思う人は、私と同年代かそれ以下でしょう。

記事として取り上げたはいいものの、別に私はアンバサオタクでもなければ、発売当時を知る人物でもないので、詳しい説明はウィキペディアに譲るとして。

 

ja.wikipedia.org

 

先日、富山へドライブに行った際に買ってきたので、久々に飲んでみました。

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色はカルピスソーダと同じような白色。

飲んでみると、炭酸はかなり弱め。味はカルピスソーダのような、しかしそれとはまた違う、さっぱりとした爽やかな味わいです。カルピスソーダやスコールの対抗馬として発売された乳性炭酸飲料らしいですからね。まァ、今となってはよくある感じですけれど。

ウィキには「カルピスの牙城を崩すまでには至らず」とあり、なるほど、カルピスソーダよりマイナーな商品ですが、個人的にはアンバサのほうが好きです。カルピスソーダは甘味料が入ってるのよね……。身体にいいとか悪いとかではなく、甘味料特有の、舌に残るあの甘ったるい感じが大嫌いなので。

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で、これを読んで「俺も飲みたくなってきたなぁ~!」「よし、近所の自販機まで買いに行くか!」と思った、わが222万*1新潟県民の皆さん。

 

およしなさい。無駄です。

 

「そう言われてみれば、最近見かけないな」と思ったあなたは勘がいい。

もうお分かりだろう!

新潟県では――アンバサが売っていないのである!!

嘘だと思ったら、街中の自販機なりスーパーなりを探して御覧なさい。

しかし、以前はあったと思うんですけどねぇ……。口のところが細くなったアンバサの缶、見た覚えがありますもん。いつの間にか消えたな。

実は、ボトラー(自販機の供給を行う会社)の関係で、「地域限定商品」というものがあるのです。今はボトラーの多くが合併して規模が大きくなったようですが。

例えば、かつてあの「MAXコーヒー」が千葉や茨城周辺でしか売られていなかったのも、旧利根コカ・コーラボトリングの管轄内でしか販売されていなかったからです。

アンバサについて言うと、上越に近い長野県と富山県では販売されていることを確認済み。だから富山へ行った時にわざわざ買いました。これはおそらく、富山県、石川県、福井県、長野県を管轄する「北陸コカ・コーラボトリング」の販売網によると思われます。

他方、新潟県は「コカ・コーラボトラーズジャパン」という別のボトラーの管轄。そのため、北陸三県&長野とは自販機の品ぞろえが微妙に異なります。

加えて、そもそもアンバサ自体の影も薄い。天下のコカコーラ製品なのに……ていうか、またウィキからの引用ですけれど、驚くべきことに日本コカ・コーラの公式サイトには一切製品情報が掲載されていない製品でもある」って書いてあります。

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おお、なんと不遇な飲料であることか! 現役で売られているのに、商品情報が掲載されていないって、そんなことある? かつてのライバルのスコールは、なんと身内ヅラしてコカ・コーラのサイトに載っているのに!*2

白い巨人・カルピスを倒すため鳴り物入りでつくられておきながら、「君が死んでも当局は一切関知しない」とばかりに戸籍(商品情報)を抹消され、明らかな劣勢に立たされた今もなお、細々と戦い続ける孤高のレジスタンスのような存在、それが「アンバサ」なのです。日本コカ・コーラ社の闇は深い。

 

そんな孤独なアンバサを、みんなも飲んで応援しよう! 近所で売っていなくても、今は通販というものがありますからな!

 

……最後はなぜか宣伝っぽくなってしまいましたが、コカ・コーラから金銭を受け取っているわけではありませんので、念のため(笑)。