どうもこんにちは。
実は先日、仙台へ行ってきました。ちょっとした小旅行、いや“中”旅行です。帰りは羽越線を経由したのですが、その時に最新型電気式気動車「GV-E400系」に乗ることができました。
運用を調べてあったわけではないので、新型なら初乗車だし、キハ40系なら乗り納めだろうなと漠然と考えていたところ、前者でありました。嬉しいような悲しいような。
で、乗った感想を一言で言うと、「脳がバグる」。
車内は、今や新潟地区の主力となったE129系電車に準じており、シート配置は若干異なるものの色や形はほぼ同じ。新車の匂いも、照明がLEDである点も、乗降のたびにピンポンピンポン聞こえてくるドアチャイムや開閉音も同じです。だから乗っている感覚はE129系と同じなのですが、床下から響くエンジン音が「俺は気動車だぞ」と主張してきます。長年キハ40系が走っていた区間をE129系(みたいな車両)に乗っている、でも床下からはエンジン音が聞こえる、というミスマッチで脳がバグりそうになりました(笑)。
ちなみに電気式気動車というのは、ディーゼルエンジンを回して発電し、その電気で走る気動車のこと。乗る前は、「今までの気動車と何が違うの? わざわざ動力を電気に変換するメリットはあるの?」とその意義に懐疑的でしたが、乗ってみて分かりました。
「変速ショック」がないのです。
旧来の気動車は、軽油を燃焼させてディーゼルエンジンを回し、そのパワーをトルクコンバーターで増幅させ、変速機につないで車輪を回すというもの。車やバス、トラックなんかと同じですね。
しかし加速・減速でギアが変わる際に、「ゴンッ!」という衝撃があります。これが「変速ショック」です。私がよく乗る気動車はトキ鉄のET122形ですが、あの車両なんてまだ新しいのによっぽどひどい。とはいえ、多かれ少なかれ、どんな車両でも構造上避けられないものです。
ところが、電気式気動車にはこの変速ショックがありません。だって変速機がないもん。エンジンはあくまでも電気を生み出す「発電機」に過ぎず、その電気でモーターを回して走るのです。架線から電気をもらうか、自分の車両内で生み出すかの違いで、実際に走る仕組みは電車と一緒。一応「気動車」と呼ばれていますが、実態は「ディーゼル発電機搭載電車」とでも呼ぶのが適切でしょう。変速機がないので変速ショックがなく、加減速もスムーズで、床下から響くエンジン音を抜きにすれば、乗り心地は電車と変わりません。これも脳がバグる原因だったり(笑)。変速ショックがないのがこれほど快適性向上に寄与するのか、と驚きました。
お客には関係ないですが、仕組みの大部分が電車と同じなので、保守整備も電車と共通の点が多く省力化につながるといいます。さらに、列車の運転免許というのも本来は「電車(電気車)」と「気動車(内燃車)」でそれぞれ別物なのですが、この車両に至っては「電車」の免許のみでも運転できるそうなので、今後の人手不足に対する妙手と言えそうです。
なお、このGV-E400系の増備により、2020年3月のダイヤ改正をもって、新潟地区を走るキハ40系列の列車たちは、只見線や一部の観光列車(越乃Shu*Kura)を除き全て引退します。キハ40系が去ることには一抹の寂しさもありますが、情緒を抜きにすれば、座席は狭く、音も揺れもひどく、冬には隙間風が吹き抜け、トイレは薄暗くてクサい和式……などなど、いくらなんでも老朽化がひどい車両でした。
明るくきれいで快適なGV-E400系は長時間乗っていても全然苦ではなく、大幅なサービス向上が図られて、日常的な利用者からも好評なことでしょう。JR北海道でも、同じ車両の別形式「H100形」が来春デビューします。これらの新しい車両が、また末永く愛される車両になるといいなと思います。
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